ISILの思惑
以下、便宜上、イスラム国と表記します。
報道や、専門家のいろんな意見を読み、
もろもろ自分なりに整理してみたいと思う。
イスラム国の思惑はわからない。
だが、彼らのシナリオ通りにことが進んでいるのだと思う。
今、思うと、一連の動画を見る限り、イスラム国はハナから、日本政府と交渉する気なんかなくて、交渉の成否など関係なかったのかもしれない。
段階的に動画を公開することで動揺を促し、日本国民とヨルダン国民の感情を分断させる。
その証拠に、3回目の動画メッセージは、ヨルダン国民と日本国民が明らかに対立するような条件だった。
イスラム国のプロパカンダが意味するもの、それは外国人戦闘員を集めることだと、言ってる専門家の人がいた。
ホームグローンテロというのが彼らの戦い方だということに、説得力を感じた。
イスラム国の戦闘員というのはいろんな国々からの寄せ集めによって組織されている。
日本人はプロパカンダに弱い、日本のメディアもセンセーショナルに報道するいうことがわかれば、そのうち日本語でリクルートの動画が見られるようになるかもしれない。
それをメディアが迎合するように報道すれば、くすぶっている若者たちは動き出す。
日本人を戦闘員に加え、自国でテロを起こさせる。
これがイスラム国の狙いなら、本当に恐ろしい。
つまり、メディアがセンセーショナルに騒げば騒ぐほど、テロリストが利することになる。
しかし、この残虐極まりない悪の組織を掃討できない国連の存在意義とは一体なんだろうか。
結局のところ、国外で動ける諜報機関が日本になかった時点で、すでに詰んでいたのかもしれない。
NSCも機能していたか疑問だ。
交渉がヨルダン頼みになっていることが、ヨルダンを巻き込む事態にまで発展してしまった因果だと思う。
ボクはここまでの安倍政権の対応は間違っていないと思う。
というか、そもそも日本にCIAのような諜報機関や軍事オプションがない時点で、政府にできることは、選択肢というのは、他国に案件を依頼することしかできないわけで。
英国などは、自国民の救出に対しては、自分たちでオペレーションをする選択肢をもっている。
そして、それが抑止力にもなっている。
日本は、今報道されていることしかできないのが現状だ。
それでも、電話一本で各国の首脳と話が通じているのは、安倍さんの地道な外交の成果だと思う。
日本に選択肢が一つしかないというのを、イスラム国は知っている。
だから、後藤さん解放の条件にヨルダンと日本を分断させるような要求をしてきた。
日本は主導権を失い、ヨルダン政府に任せるしかなくなった。
イスラム国は、後藤さん解放の条件として、サジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を要求し応じなければ、ヨルダン空軍中尉と後藤さんを殺害すると言った。
つまり、テロから戦争に変わることを意味しているわけで。
もし仮に、死刑囚を釈放し、後藤さんが解放されたとしても、イスラム国は、いつでも日本のせいにしてヨルダン空軍中尉を殺害するカードを持っていることになる。
今回の事件がどういう形で終わるにしても、結果を今後にいかさなければならない。
人を助けるにはリスクが伴う。
火事の家に飛び込む消防士がいなければ、救助されることなく人が死ぬことになる。
山で遭難した人を助ける自治体の人たちがいなければ、救助されることなく人が死ぬことになる。
今回の人質事件をきっかけに、テロ対策や安全保障に伴うリスクというものに対して、議論されるべきだと思う。
世の中には、理不尽によって死にいく命というのはたくさんある。
湯川さんもその一人だと思う。
例え、ヨルダンと日本が多くの代償を払って後藤さんを救ったとしても、世の中にある数え切れない理不尽によって死んでいく命の一つを救ったにすぎないわけで、その代償によってさらに多くの理不尽によって死にいく命が増えてしまっては、より多くの代償をこれからも払わなければならないことを考えなきゃならんけれども、とにかく今は、後藤さんが無事に解放されたら、責めることなく純粋に喜びたい。多くの人に迷惑や代償があることは本人が一番理解していると思うから、追い込むような非難中傷はないよう願いたい。